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データ界隈で働くエンジニアとしての技術的なメモと、たまに普通の日記。

第1回 ローンチ・キャンプに参加しました

ESM が主催する、新しいITサービス・コンテンツ等、ビジネスを立ち上げる体験ができる 1day イベント「第1回 ローンチ・キャンプ」に参加しました。

ESM とは…

起業を考えている&応援してくれるエンジニアとビジネスプラン保有者の出会いの場、プランを発表して、エンジニアが突っ込むビジネスを生み出すきっかけとなる場として社会を変えるビジネスを創出することを目的として活動をしている。これまでに8回のイベントを開催。最近のイベントでは毎回100名近い集客実績がある。運営チームは、起業家やエンジニアの有志を中心に構成されている。 https://www.facebook.com/engineer.startup.meeting

ということで、スタートアップ・起業を目的とした方達が主に集まるイベント団体のようです。「のようです」というのは、会社の先輩に勧められて面白そうだなと思って参加したという経緯があり、参加するまで主催団体について詳しく知らなかったんです(^_^; 既に起業されている方や起業準備中の方々などが大勢いらして、非常に刺激的な一日になりました。

朝9時から夜21時まで、13時間を通じて行われるこの 1day イベントを時系列でお伝えします。

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イベント詳細

イベントには30名近くの方が集まりました。各自が自分のアイデアを1分間で発表するエレベーターピッチを行い、その中で人気のある案の中から班分けを行い、限られた時間の中でビジネス案やサービス案、モックの製作を行います。

これからサービスリリースに向けて活動する方もいますので、どんな案があったのかや、どの案が優勝したのかはここでは隠しておきます。写真やイベントの流れから、当日のイベントの雰囲気をお伝えできればと思います。

キーノート講演:株式会社グッドパッチ 土屋さん

株式会社グッドパッチ代表取締役の土屋さん(twitter: @tsuchinao83)は会場であるデジタルハリウッド大学大学院の卒業生。グッドパッチさんはUIデザイン・設計を行っている、日本では珍しいベンチャー会社です。Gunosy のUIを担当している、と言えば分かる方も多いでしょう。「ソフトウェアのUIが刷新されるといってニュースになる時代。これはスマートフォンにふれ、常にUIを意識する時代になってきている」と語る土屋さんは、アメリカのシリコンバレーで勤めた経験から、製品やサービスの機能に加えて UI も重要な要素になると考え、UIに関する業務を展開しています。

キーノートでは、グッドパッチ創業前後における経験から「アイデアは重要ではない」という大胆なメッセージを伝えました。例に上がったのは家計簿アプリ。土屋さんは以前、起業イベント「Startup Weekend」で家計簿アプリの案を出し、優勝した経験があります。しかしその後、その案を継続して開発することはありませんでした。

一方で最近では Zaim, ReceReco, Moneytree などの様々な家計簿アプリが登場し、ブームとも言える状態になっています。いち早く家計簿に目を付けた土屋さんでしたが、この波に乗れなかった理由として「誰も本気で開発しようとは思っていなかった」のではないかと語ります。

イデアはもちろん大切ですが、それを実現させようという強い意思がないと形にはなりません。土屋さんのメッセージは、この「ローンチ・キャンプ」を始めるにあたって参加者の心に響いたのではないかと思います。

ビジネスアイデアの発表(エレベーターピッチ)

キーノートの後には参加者によるエレベーターピッチが行われました。

エレベーターピッチとは、自分のアイデアを非常に短い時間で伝えること、もしくはアイデアや製品概要を短い時間・文章でまとめたものを言います。参加者の意識共有を行うため、製品開発を行う前にエレベーターピッチにあたる文章を作成することがあります。エレベーター乗車中の短い時間で上司にアイデアを伝える、といったイメージのようです。

今回のエレベーターピッチは1分間でスピーチを行い、自分がどのような製品・アイデアを持っているか発表しました。20名ほどの発表者がおり、その中で上位6案を決めます。発案者以外は、その6案のどの班に加わるかを決め、班ごとの企画・製作がはじまりました。

TED talks:優れたリーダーはどうやって行動を促すか

イベント中に、TED の有名な動画を参加者全員で視聴しました。Why, How, What という3つの円で表された概念図を用いて、人間は "Why"(なぜ)に共感できないと心を動かされない、といった内容です。「なぜそのサービスが必要なのか」を中心にプレゼンを行ってほしいと主催者の方からアドバイスがありました。

多くの企業製品は、What, How, Why の順に説明がされています。どうしてその製品が必要なのかを説明するよりは、その製品は何ができるのかを説明する方が楽だからでしょう。しかし人間の行動原理は逆で、相手に訴えかけるには説明の順序を逆にする必要があると言います。What から説明すると、理屈では分かっても何だか納得できないという状態になってしまいます。

Apple の事例や、人間の脳の構造にも着目して、"Why" がいかに大切かを明快に解説しています。有名な動画のようですのでご存じの方も多いでしょうが、まだ見ていない方は是非見てみてください。

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班ごとに分かれての企画・製作

各班の製作風景です。

お昼前から18時ごろまで、6時間かけて製作を行いました。エレベーターピッチでの案を参加者同士で深堀りし、モックの作成や発表資料の作成を行います。

エンジニアの先輩の紹介を受けての参加だったのでハッカソン的なイベントを想像していましたが、実際はビジネスプランの提案に近いイベントでした。しかしデザイナーの方や起業家、学生の方など様々なバックグラウンドをもった参加者がおり、普段交流しない業種の方と議論し共同作業できたのは貴重な体験でした。それぞれのバックグラウンドや着眼点が違うため、ブレストを行うとアイデアの伸び方が非常に豊かでした。モックやプレゼンのための準備でも、各自が得意なスキルを生かして作業分担を積極的に行いました。

グループワークだと「課題」が先にあるので受け身の姿勢になってしまいますが、自分たちでアイデアを考えて練り込み、それを資料やモックに落とすという作業はとても能動的で、参加者同士のコミュニケーションも非常に活発でした。今まで様々な勉強会やセミナーに参加しましたが、これほど参加者がイベント内でコミュニケーションが取れるイベントはなかなか無いと思います。ハッカソンにはまだ出たことがないのですが、参加者同士がその場で考えて何かを作ったり共同作業するイベントの面白さが分かったので、今回「ローンチ・キャンプ」に参加できて本当によかったです。

プレゼン

発表風景

プレゼンは各班5分+質疑応答3分で、モックなどを交えた発表が行われました。モックとしては、実際に Web ページを製作した班・スマートフォンアプリのためのモックを製作できるツールを利用した班・Cacoo という Web 上のドローツールを利用した班など様々でしたが、全ての班がそれぞれのメンバーのスキルを生かしたプレゼンだったと思います。

質疑応答について、メンターの先生方だけではなく参加者から活発に質問が飛び交ったのが印象的です。これも参加者が積極的にアクションを起こすイベントだからこそではないでしょうか。

懇親会

懇親会

懇親会も非常に盛り上がりました!発表についての詳細を聞きあったり、各自のバックグラウンドを語り合うなど、とにかく話のネタに事欠きませんでした。

参加者のほとんどが起業を目指して活動しているようで、私のようなエンジニアというポジションはやや場違い感があったのですが、懇親会では私が作った WordPress のモックの評判がよく、色んな方とお話ができました。私が携わっている業界の関係者がいたり、エンジニア同士で意見交換したり、非常に充実した懇親会でした。

印象的だったのは、「エンジニア」という職種が有難がられているという点です。起業家の方が多かったので、自分のアイデアを形にしてくれる「エンジニア」という存在を必要としているようです。今回このイベントを紹介してくれた先輩も起業のお手伝いをしていると聞いていたので、こういう縁で繋がっていったのかな、と感じました。他にも業界が近い方とイベント後もやりとりをさせていただいており、エンジニアとしても人脈が広がるイベントでした。

「勉強会やセミナーに出ても得は少ない」というブログエントリーが最近広まっていましたが、懇親会の力は侮れないものがあると感じます。会社の外に出ることで世の中で何が起きているのか肌感として知ることができますし、勉強会やセミナーに参加している人たちから活力を分けてもらうこともあります。最近は facebookTwitter でゆるく繋がれるようになったので、イベントで知り合った人のその後の活動を知ることでやる気も湧きます。多くのイベントでは、セッションだけ聞いてすぐに帰ってしまう方も多いので、時間が許せば懇親会に参加してみてはいかがでしょうか。私もかなり人見知りですが、懇親会に出ている人は「コミュニケーションが取りたい」と思って参加していますので、思いきって話しかけてみると意外に盛り上がったりして面白いです。

少し脱線してしまいましたが、エンジニアとして参加しても非常に楽しいイベントでした。イベント主催者の方々や、イベントを紹介してくれた先輩に感謝です。