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ソフトウェア開発者としての技術的なメモと、たまに普通の日記。

2021/11/02 ビジネス用語集の整備を始めました

データマネジメントの推進という立場から社内でいろんな方と話をするのですが、データマネジメントの様々な領域の中で自信を持ってアドバイスできるもの、できないものがありました。その中の一つに DMBOK に繰り返し登場する「ビジネス用語集」がありました。

社内用にデータマネジメント成熟度アセスメントのチェックリストを作ったのですが、ここでも「ビジネス用語集」は登場します。これが部分的に存在しているか、更新ルールがあるかなどをヒアリングしていますが、自分の中でそもそも「ビジネス用語集」へのイメージが確立されておらず、ヒアリングを自信を持って進めることができませんでした。

ビジネス用語集について以前にも記事を書きました:

bynatures.hatenadiary.jp

技術的に難しいことはないはずですが、思いつきで進めると更新が保たれず、結果的になんちゃら用語集が乱立する状態となります。必要なのは用語をまとめていく中心となる組織と更新ルールです。社内のデータマネジメントを進める横断組織にいる立場として、この部署で横断側のビジネス用語集を管理していくのは適切だろうと考えて用語集の整備を始めました。

用語集の「ツール」「人」「プロセス」

データマネジメントを進めるにあたり重要な三要素として「ツール」「人」「プロセス」が挙げられますが、「ツール」としては Notion を利用しました。Notion にはインラインデータベースという機能があり、表形式でデータを管理しながらその場で編集できます。ただの表ではなく関係データベースのようにカラムの属性が定義できるので、用語に対するラベルや説明をきっちり整備していくことができます。必要な際にはエクスポートして関係データベースに移行することも容易です。

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Notionでの用語集サンプル

「プロセス」としては今はゆるくしていて、誰でも編集できる状態にしています。ただし対象のNotionページが更新された場合はSlack通知を飛ばし、データ管理部署がその定義が適切かどうかを判断できる体制にしています。

「人」についてはまだ検討段階です。ゆるいルールにしても、この用語集を重要だと感じてもらい、さらに足らない用語を自発的に提供してもらうのはまだまだ時間がかかりそうです。当面はデータ管理チームの方で用語を拡充していく予定ですが、データ利用者からも更新してもらえるような体制にしていきたいです。

この地味な整備に効果はあるのか

用語集を実際に作るまでは、DMBOK に繰り返し登場しているけれど本当に必要なものなのか?教科書的に書いてあるだけなのではないか?と思っていましたが、実際に作ってみると用語集は絶対に必要なものだと感じています。

企業で働いていると必ず社内用語というのが生まれます。組織名、チーム名、なんらかのID、システム名などなど。ウェブ検索で出てくる用語であればよいですが、こういった社内用語は知らなければ業務に支障をきたしたり、理解不足で時間がかかったりする場合があります。これらの用語をまとめることで、日々の業務を円滑に進めるほか、新しく加わったメンバーのオンボーディングにも大きく役立ちます。特にリモート会議などでは意思疎通を音声のみで行うことも多く、用語の共通認識がブレていると打ち合わせがうまく進みません。

用語集を整備していく内に、様々な社内用語をまとめておくべきだと考えるに至りました。弊社も長きにわたって事業を展開していく中で、残念ながら縮小・撤退していく事業も存在します。そういった事業部からは人が抜けて別事業部に異動したりしていますが、たとえシステムが新規開発されなくなくなっても、さらに言えばシステムが停止してもデータは残り続けます。このデータを分析するためには、どうしても用語の定義が必要です。仰々しく言えば属人化を避けて企業活動の記録をデータの観点で行うことが用語集の整備なのかもしれません。言語の成り立ちに詳しくはありませんが、毎年出版される辞書には新たな定義が加わり、私たちが話す自然言語(ここだと日本語)も辞書出版企業によって蓄積されています。企業活動の歴史をデータの観点から積み上げていくものが用語集であり、もっと押し進めればナレッジベースになったりするかもしれません。DMBOK 的に言えばメタデータ整備をしてデータの説明情報を増やしていくことも、これにあたりそうです。

私の経験として、この重要性は伝わる人にはすぐに伝わります。おそらくオンボーディング時や分析時に苦労されたのでしょう。こういう情報が欲しかったと言ってもらえると整備している立場として嬉しく感じます。

この効果を直接表現するのは難しいですが、間接的に可視化する手段がデータマネジメント成熟度アセスメント(DMMA)であり、各分野のレベルが上がるにつれてデータが整備されて使いやすい状態だとわかります。用語集もその一要素として重要だと理解したので、成熟度をあげる一要素と考えて引き続き整備・運用していきます。